めぐリズムの脅威。
過去に書いた詩を2本載せます。
早く次に行きたい。
今まで以上に本気で書いた物なので。
過去に書いた詩を2本載せます。
早く次に行きたい。
今まで以上に本気で書いた物なので。
【プリッツとわたし】
小学校入学のお祝いに
前から欲しかった電信柱を買ってもらった
自分だけのペットが欲しかったのだ
その形と好きなお菓子にあやかって
「プリッツ」と名前を付けた
プリッツの家は駐車場のすぐ横の生け垣
規則的に並べられた電柱の脇に
私だけの電柱が立っている
登りやすいように
低いところにも足場をいっぱい付けてもらった
プリッツはもちろん家族の一員
『中村プリッツ』と張り紙をして
電話番号を書いて貼り付けたら
すぐにお母さんに見つかって
プリッツと私はこっぴどく叱られ
広告禁止令が出された
プリッツの世話は、夕方特に忙しくなる
家の前の道は近所の犬の散歩コースだ
怖がって何も言えないプリッツを
わるい犬から守るのが私の仕事
だけど、学年が上がるにつれて
下校時間が遅くなってくると、
プリッツの世話ができなくなってきた
帰る時間になると、遊ぶ約束もしないで学校を飛び出す
でも家に着くと、いつもプリッツはいじめられた後だ
お母さんも私が小学校に入ってからパートを始め
いつもプリッツを見ていられなくなった
かわりに広告禁止令をなくしてもらい
「この電柱にオシッコ禁止」と
お父さんに書いてもらった張り紙をすることにした
目立つところにポスターを貼るために
プリッツによじ登る
前に降りられなくなったことがあるから
家の一階よりちょっと上にある杭よりは上に行けない
もう暗くなってきた街を
プリッツの背中から眺める
よその電柱は
電線から送られてきた電気で街灯をつけ
足元を照らしている
・・・・誰にも繋がれてない
私だけの電信柱が欲しかっただけなのにな
プリッツとの別れは突然だった
お盆にやってきたじいじがバック駐車に失敗し衝突、
大きなヒビが入ったのだ
プリッツはなんとか立っていたけど
「安全性を最優先に考慮した」という大人の判断で
遠くの街に捨てられることになった
私はショックで大泣きした
泣いて、泣いて、やがて、気付いてしまった
(もう、世話をしなくてよくなったんだ)
あっという間に夏休みが終わると
学校で新しい友達がいっぱい増えた
放課後友達の家に行くようになったし、
そこでもらった極細ポッキーが今一番のお気に入り
プリッツの居た場所は、草がボーボーになっている
お母さんが花壇の世話をサボっているので
何があるか、もう分からない。
====
友達の結婚式に行く為に高速バスで高速道路から下の街の景色を眺めてて、電柱が並んでるのが見えて、それで思いついたんです。
以前のブログにあった「詩のボクシング」で好評を頂き、一部で「電柱の人」と呼ばれた時代があります。
「声に出すため」の詩を意識して書いたので、文字にするとちょっと違和感があったり。
◆◆◆
【運命の人】
僕と彼女は同じ星の違う場所に生まれ
どんな苦難も乗り越えて必ず巡り合う運命なのだ
その事は何年も前から決まっていたし
これからもきっと、ずっとそうなのだ
産まれた瞬間、その度に違う母親の顔
それよりも前に浮かぶ、巡り合う運命の彼女
十二単や宇宙服、ポンチョやサリー、龍の鱗
どんな服や格好でも、いつも同じ顔の君が笑っている
僕は君に巡り合うために命を全うする
彼女が待つ、約束の丘
君に向かう一本道には、必ずいくつものドラマがある
それを乗り越え、君に出合い、そして命を枯らしていく
――そして、また産まれる
母親の笑顔の前に、同じ顔の君が割り込んでくる
寝ても覚めても、想うのは君のことだけ
そんなに微笑まなくても、もう顔は覚えたよ
だけど君は笑っている
僕がこれから歩く道に、たくさんの障害を用意して
そんな幾つめかの運命のある日、僕は違う女の子に恋をした
やわらかくカールした髪、控えめな瞳
運命の彼女よりもはっきりと認められるえくぼ
想像じゃなくて、はっきりと解る性格やクセ、しゃべり方
何よりも、今、触れることのできる大切な人
大切な人は、戦争に巻き込まれていなくなった
命からがら戦禍を逃れ、辿り着くのは運命の君
逢いたかった、と瞳を潤ませる
―――違う
僕に抱きつき、肩をふるわせる
―――違う
ボクガホシイモノトチガウ・・・・!
運命は何も考えずに、また産声に同じ顔を用意していた
僕はその手配書を手に、何よりも早く彼女を見つけ出す
彼女は懲りもせず、約束の丘で待っていた
その丘から彼女を突き落とし、僕は余生を僕のために使う
ソフトクリームも木イチゴも、僕が好きな人と食べれば何でも美味しい
でも、これは運命じゃないから、幸せが長く続いてくれない
だから、僕の幸せのためには、少しでも早く彼女を殺さなければ
そして運命じゃない人生を繰り返すうち、不意にたまらなく彼女の声が聞きたくなった
悲鳴じゃない声。もう何個分の運命と聞いていない
目を閉じれば浮かぶ、故郷のような彼女
僕はまっすぐ走った
どんな苦難も乗り越えられる
どこにだって行ける
一本道が、本当の一本になる
その先に、影(シルエット)が待っている
僕は大きく手を振る
彼女が微笑んでいるのが見える
その手に握られた拳銃が、僕の胸に向けられているのが見える―――
====
一番自分の感性に近い作品。こういうものの感想が欲しい。
死ぬとか殺すとか、わるいことばをいっぱい使いたい。
わるいことばを悪いと諌める連中に、何がわるいのかを問い詰めたい。
悪い言葉を使っても、悪い詩じゃないという強い自負もあります。
自信作は早いトコ片付けて、次に行かないとね。
小学校入学のお祝いに
前から欲しかった電信柱を買ってもらった
自分だけのペットが欲しかったのだ
その形と好きなお菓子にあやかって
「プリッツ」と名前を付けた
プリッツの家は駐車場のすぐ横の生け垣
規則的に並べられた電柱の脇に
私だけの電柱が立っている
登りやすいように
低いところにも足場をいっぱい付けてもらった
プリッツはもちろん家族の一員
『中村プリッツ』と張り紙をして
電話番号を書いて貼り付けたら
すぐにお母さんに見つかって
プリッツと私はこっぴどく叱られ
広告禁止令が出された
プリッツの世話は、夕方特に忙しくなる
家の前の道は近所の犬の散歩コースだ
怖がって何も言えないプリッツを
わるい犬から守るのが私の仕事
だけど、学年が上がるにつれて
下校時間が遅くなってくると、
プリッツの世話ができなくなってきた
帰る時間になると、遊ぶ約束もしないで学校を飛び出す
でも家に着くと、いつもプリッツはいじめられた後だ
お母さんも私が小学校に入ってからパートを始め
いつもプリッツを見ていられなくなった
かわりに広告禁止令をなくしてもらい
「この電柱にオシッコ禁止」と
お父さんに書いてもらった張り紙をすることにした
目立つところにポスターを貼るために
プリッツによじ登る
前に降りられなくなったことがあるから
家の一階よりちょっと上にある杭よりは上に行けない
もう暗くなってきた街を
プリッツの背中から眺める
よその電柱は
電線から送られてきた電気で街灯をつけ
足元を照らしている
・・・・誰にも繋がれてない
私だけの電信柱が欲しかっただけなのにな
プリッツとの別れは突然だった
お盆にやってきたじいじがバック駐車に失敗し衝突、
大きなヒビが入ったのだ
プリッツはなんとか立っていたけど
「安全性を最優先に考慮した」という大人の判断で
遠くの街に捨てられることになった
私はショックで大泣きした
泣いて、泣いて、やがて、気付いてしまった
(もう、世話をしなくてよくなったんだ)
あっという間に夏休みが終わると
学校で新しい友達がいっぱい増えた
放課後友達の家に行くようになったし、
そこでもらった極細ポッキーが今一番のお気に入り
プリッツの居た場所は、草がボーボーになっている
お母さんが花壇の世話をサボっているので
何があるか、もう分からない。
====
友達の結婚式に行く為に高速バスで高速道路から下の街の景色を眺めてて、電柱が並んでるのが見えて、それで思いついたんです。
以前のブログにあった「詩のボクシング」で好評を頂き、一部で「電柱の人」と呼ばれた時代があります。
「声に出すため」の詩を意識して書いたので、文字にするとちょっと違和感があったり。
◆◆◆
【運命の人】
僕と彼女は同じ星の違う場所に生まれ
どんな苦難も乗り越えて必ず巡り合う運命なのだ
その事は何年も前から決まっていたし
これからもきっと、ずっとそうなのだ
産まれた瞬間、その度に違う母親の顔
それよりも前に浮かぶ、巡り合う運命の彼女
十二単や宇宙服、ポンチョやサリー、龍の鱗
どんな服や格好でも、いつも同じ顔の君が笑っている
僕は君に巡り合うために命を全うする
彼女が待つ、約束の丘
君に向かう一本道には、必ずいくつものドラマがある
それを乗り越え、君に出合い、そして命を枯らしていく
――そして、また産まれる
母親の笑顔の前に、同じ顔の君が割り込んでくる
寝ても覚めても、想うのは君のことだけ
そんなに微笑まなくても、もう顔は覚えたよ
だけど君は笑っている
僕がこれから歩く道に、たくさんの障害を用意して
そんな幾つめかの運命のある日、僕は違う女の子に恋をした
やわらかくカールした髪、控えめな瞳
運命の彼女よりもはっきりと認められるえくぼ
想像じゃなくて、はっきりと解る性格やクセ、しゃべり方
何よりも、今、触れることのできる大切な人
大切な人は、戦争に巻き込まれていなくなった
命からがら戦禍を逃れ、辿り着くのは運命の君
逢いたかった、と瞳を潤ませる
―――違う
僕に抱きつき、肩をふるわせる
―――違う
ボクガホシイモノトチガウ・・・・!
運命は何も考えずに、また産声に同じ顔を用意していた
僕はその手配書を手に、何よりも早く彼女を見つけ出す
彼女は懲りもせず、約束の丘で待っていた
その丘から彼女を突き落とし、僕は余生を僕のために使う
ソフトクリームも木イチゴも、僕が好きな人と食べれば何でも美味しい
でも、これは運命じゃないから、幸せが長く続いてくれない
だから、僕の幸せのためには、少しでも早く彼女を殺さなければ
そして運命じゃない人生を繰り返すうち、不意にたまらなく彼女の声が聞きたくなった
悲鳴じゃない声。もう何個分の運命と聞いていない
目を閉じれば浮かぶ、故郷のような彼女
僕はまっすぐ走った
どんな苦難も乗り越えられる
どこにだって行ける
一本道が、本当の一本になる
その先に、影(シルエット)が待っている
僕は大きく手を振る
彼女が微笑んでいるのが見える
その手に握られた拳銃が、僕の胸に向けられているのが見える―――
====
一番自分の感性に近い作品。こういうものの感想が欲しい。
死ぬとか殺すとか、わるいことばをいっぱい使いたい。
わるいことばを悪いと諌める連中に、何がわるいのかを問い詰めたい。
悪い言葉を使っても、悪い詩じゃないという強い自負もあります。
自信作は早いトコ片付けて、次に行かないとね。
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