A cloud

自転車のタイヤが歪んで、本体の鉄の部分と擦れてうるさいので、蹴りを入れて矯正しました。他の場所が歪んで、違う金属音がし始めたけど。
今年で乗り始めて３年目なのですが、既に修理費は本体価格を越えています。あと２年弱しか乗らないのに、敢えて新品を買うことは得策か否か。

引っ切り無しに、周囲に２万５千円くれと呼びかけています(ウザいという自覚は充分ある)。ＤＳってだいたいそれぐらいですよね？ポケモンとパネポンとMOTHERがやりたい。


長い文章を載せるには、このブログ向かないかなぁ。

　　造花　


「枯れたときに悲しいから｣
　君はそう言って、花屋の前を通り過ぎた。
　これからは一緒に過ごす時間が多くなる。殺風景なこの部屋に少しずつ君の色を足そうと、僕たちは春風の街へ買い物に出かけた。
　３段のタンスは、下２段が君用。使うかどうか分からないけど、デザインが気に入って買っちゃった電気スタンド。色違いの皿。マグカップは別々。ぬいぐるみ。このペンギンが、ケンカしたときに宙を舞わないように約束して、僕らの家族に加えた。
　僕の部屋のベランダは少し広い。「ガーデニングでもしてみる？物干し台だけじゃ味気ないよ」と、花屋の看板が見えたとき話しかけてみた。でも断られた。
　「枯れたときに悲しいから」
　替わりに、小さな造花を買って、リビングの机に飾った。コーヒー牛乳の瓶に挿してみたけど、透けて見える茎が雰囲気を壊すので、薄緑の花びんを後で買いに行くことになった。
　持てるぶん以外は宅配便。あとは駅前にできたパン屋でおやつを買って帰ろう。ちょっとだけ僕らの部屋に甘い香りと黄色い彩り。まぁ食べちゃうんだけどね。
　僕らは些細なことにいちいち笑っていた。パン屋の袋に造花を挿す、そんな事にでも。


　始まったばかりの喜びは、後に襲う悲しみを上手に隠す。
　手放しで喜ぶことは、もしかしたら騙される序章。

　
　枯れないほうが悲しいよ。
　なんでも処分する手前になって蘇ってくるから、すがり付いてくるから追い出せない。
　造花は枯れないけど、西日にやられて色褪せていく。放っておいたらホコリをかぶる。
　君はこまめに掃除してくれて、造花もちゃんとハタキをかけていた。
　赤い造花はお笑い番組の邪魔で、悲しいドラマの演出効果。普段はホコリでかすんでも、締め付けるようなファルセットで僕を引き裂く。

　もうちょっとしたら、きっと捨てるよ。
　もうすぐ大学を卒業する。だからたくさん残していこう。
　広い青が遮るから、きっともう渡ってこない。
　新しい花。僕は種を作る花を育てようと思う。